1939年3月10日 輝かしく新たな命が誕生
シゲ(重)が熊本県球磨郡で母、そして父の春吉と生きていました
シゲはその年の憎しみもわからぬまま
生活習慣すら一変する日々を過ごしていました
後に生まれた妹の晴美も大変可愛がります
何しろ男の中に女が一人
とても愛されたそうです
春吉は長く続いた戦争からか
何か気を晴らすように大変な量の酒をのんで暴れるため
シゲと兄弟たちは近くの家に日々避難するほどでした
シゲはウサギ小屋に引きこもって隠れるほかなく
大人になってもあんな父になりはしないと
酒をのんでも直ぐ眠る酒癖の良い大人に育ちます
子供が生まれてからも
よその子も自分の子供のように
大変可愛がりました
生意気な子供もシゲには直ぐになつくほどでした
人と人がなんとか仲良く過ごすため
自分に出来る僅かな努力を重ねる人でした
ですから亡くなった後もシゲを憎む人はおらず
娘の私はいつのころか尊敬するようになりました
もしかしたら
脅されたり恐喝されたりそんな物騒な戦火が
シゲの父
春吉の時代にはあったのかもしれません…
家を失った人 家族を失った人…
戦争の中、過ごした人たちは重い荷物を背負い
孤児であった身の上を正直に話し
紡ぐことすら厳しい状況だったそうで
最近ようやく丁寧に調べ直して
本当の事を本に残され始めたそうです
父が今生きて82歳だったら
その様な人生を歩み
走り続けてきた方々に
どんな言葉を紡いだのだろうと考えます
明るみになることならないこと
多い世の中ですが
すがすがしい朝を迎えられることを願いながら…